高次脳機能障害の母を引き取るということ。

くも膜下出血で倒れて左脳にダメージを負い、高次脳機能障害と右半身麻痺をかかえ、介護なしでは生きていけなくなってしまった母との同居を、悩みに悩んで決意した私が、自宅の間取り図を持ってはりきって母の入院しているリハビリ専門病院に行くと、

今度はどっこい。母が毒を吐いてきた。

本当に真剣に悩んで、悩んで、悩んだ後の同居の決意だったので、本当に心の底からむっとした。

一緒に暮らしたりしたら、もっとむかつきそうである。
やっていけるのか、また心配になった。

しかし、退院後は同居するということを病院側にも伝えてあったので、その準備として、1週間後に外出許可がおり、母が初めて私の自宅に介護スタッフ2名と共にやってきた。

私たちは母が倒れる直前に引っ越していたので、母は私たちの自宅には1度も来たことがなかったのだ。事前に練習しておかないと、退院後、いきなり同居は厳しいだろうと言うことだった。

午前11時、介護タクシーでやって来た母。
部屋の中を一通り見て回って、「きれいにしてるやん」と言った。
言いたいことと、実際に話す言葉がピッタリ合うことは滅多にないので、少しうれしい。

しかし車で1時間。遠いので疲れたのか、母はすぐに横になってしまった。
無理もない。

そうこうしてるうちに1歳の息子が、おっぱいをよこせと騒ぎ出した。
でも、男性スタッフが2名もいるのに、私はおっぱいを出せない。

そろそろ母の昼食の準備をしなくちゃいけない。
1歳の息子が、おっぱいおっぱいとさらにせっつく。

息子はぐずぐず言いながら、床におもちゃを転がしだす。
アンパンマンの手押し車がコロコロ動き出す。
右半分を脳が認識しない母には見えないので、転んでしまう。
慌てて片付ける。

母の昼食の準備。続き。

お味噌汁。残り物の煮物をチンして、卵焼き。
炊飯器のごはんがまだ炊けない。

いきなり母が、そこにあった小皿を左手に持って、お味噌汁をすくって飲みだした。
ちょっと待って!

介護スタッフが助けに入ってくれる。スプーンを渡す。

ごはんが炊けた。お茶碗を出す。熱いから気を付けて。

しかし母は食べない。
ろくに食べず、もうご馳走さま。
もう少し食べないとお腹がすくよと諭されても食べない。
かたくなに拒否。
何かが気に入らないのだ。

食べかすのついた口の周りをふいてあげる。

1歳の息子が限界にきて泣き出す。
介護スタッフに断っておっぱいを出す。あげる。

1歳の息子がおっぱいにぶら下がっているので、私は動けない。
母は動く。
転ぶからじっとしててほしいのに、動く。歩く。
段差につまずく。介護スタッフに助けられる。

そして玄関先で座り込んで、「帰る」とストライキ。
どう説得しても動かない。

介護スタッフも困り果て、結局、1時間ほどの滞在で母は病院に帰って行った。

帰る時はご機嫌で笑顔で手を振っていた。

疲れた。
こんなんで、本当に一緒に暮らせるのか。

先日、あれほど固く私の手を握って帰りたがった母とはまるで別人だった。

たった1時間だったのに、本当に疲れた。

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