【ネタバレあり】『イクサガミ 人』原作感想|“人間”が見えてしまったとき、戦いはもう戻れない
Netflixドラマ『イクサガミ』の余韻を引きずったまま、
原作3巻となる『人』を読み終えました。
正直に言うと、
この巻は読んでいてずっと落ち着かなかった。
派手だからじゃない。
戦いが激しいからでもない。
人間が、はっきりと見えてしまうから。
この記事は、
原作3巻『人』のネタバレを含む感想です。
未読の方はご注意ください。
『人』は、戦いが“物語”から“現実”に変わる巻
『天』が「覚悟の始まり」
『地』が「覚悟が奪うもの」だとしたら、
『人』は、
その覚悟の先で、誰がどんな“人”だったのかを突きつけてくる巻でした。
もう、戻れない。
戦っている本人たちも、
それを見ているこちらも。
冒頭から極限。響陣の戦いが示す“生存”の異常さ
物語は、富士山のふもとから始まります。
忍者集団に囲まれる響陣。
逃げ場はない。
戦いは始まって数秒で、
「これは普通じゃない」と分かる。
敵の数。
技の応酬。
ページをめくるごとに増えていく死の気配。
槐が現れたとき、
一瞬、時間が止まったように感じました。
それでも、響陣は死なない。
だから安心できる、のではなく。
ここまでやっても“生きている”ことの異様さが、逆に際立つ。
この巻では、
響陣の幼少期や、蟲毒に参加した理由も描かれます。
彼がなぜ、ここにいるのか。
なぜ、生き延びてしまうのか。
知れば知るほど、
戦いが美談で済まなくなっていく。
蟲毒に集められた者たちの“人間性”
『人』という巻で、
蟲毒はただのデスゲームではなくなります。
生き残った者たちに、
それぞれの過去があること。
それぞれに、
「ここまで来る理由」があったこと。
化け物のような強さの裏に、
ちゃんと人間の事情がある。
戦うことすらできず、
名もなく倒れていく人たちにも、
確かに人生があった。
その事実が、
この物語を一気に重くする。
同時に、
運営側の人間にも揺らぎが生まれていきます。
「正しい」と信じて始めたはずのものが、
少しずつ、確実に壊れていく。
世界が、血を通わせ始める。
甚六の死が残したもの
この巻で最も胸をえぐられたのは、
京八流の兄弟、甚六の死でした。
幻刀斎との戦いの中、
少年を守りながら、
自分の奥義を兄・愁二郎に託して命を落とす。
派手な演出はない。
でも、重い。
読みながら、
感情の逃げ場がなくなっていくのを感じました。
無骨が刀を渡した、その意味
貫地谷無骨との死闘。
狭い汽車の中での一騎打ち。
そこで、愁二郎の刀が折れます。
戦いが終わったあと、
倒れた無骨が、刀を差し出す。
「それじゃぁ、東京は楽しめんだろう。持ってけ」
線路の上に倒れたその姿は、
“童のようだった”と描かれる。
とんでもない男だった。
でも最後に、刀を渡した。
敵だったはずの存在が、
次の道を用意してしまう。
ここでもまた、
単純な善悪は崩れていきます。
『人』というタイトルが、あまりにも重い
この巻を読み終えて思ったのは、
『人』というタイトルが、あまりにも正確だということ。
誰も無敵じゃない。
誰も完全な化け物じゃない。
みんな、人だった。
残された最後の9人。
舞台は、東京へ。
次巻『神』で、
何が描かれるのか。
読む前から、少し怖い。
でも、目を逸らすこともできない。

楽しみすぎます
イクサガミ 原作シリーズについて
イクサガミ原作は、全4巻完結。
▶︎ 1巻『天』の感想はこちら
▶︎ 2巻『地』の感想はこちら
▶︎ 4巻『神』の感想はこちら
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noteでは感情旋回バージョンを書いてます👇


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